災害時の乳幼児栄養支援に関する声明:国際ガイドラインに沿った防災対策を
NPO法人日本ラクテーション・コンサルタント協会(JALC)と母と子の育児支援ネットワーク 災害時の母と子の育児支援共同特別委員会から「災害時の乳幼児栄養支援に関する声明」が出されました。以下、奥紀久子氏のメールより転載。
東日本大震災から8年がたち、その後にも日本は数多くの災害を経験しました。犠牲になられた多くの皆さまに哀悼の意を表するとともに、今でも復興半ばの地域の皆さまに今後とも私たちにできる支援を続けていきたいと思っています。災害弱者である赤ちゃんとお母さんを守るためには、乳児用ミルクの備蓄だけではなく、乳幼児栄養全体を見据えた防災対策が大切です。災害時の乳幼児栄養に関しては、国際的なガイドラインが存在します。
衛生状態が悪くなりがちな災害時、たとえ少しの量でも母乳を飲んでいることで、赤ちゃんは感染症のリスクから守られます。
災害がひとたび起こると、乳児用ミルクや哺乳びんは医薬品・医療器具と同等に慎重に扱う必要があります。
つまり一律に配布するのではなく、月齢、被災前と現在の栄養法を把握することが大前提となります。母乳を飲ませている人には母乳を安心して続けられるよう、乳児用ミルクが必要な人は十分に届けられ安全に使用できるよう、支援体制づくりが不可欠です。
IFEモアグループ作成『災害時における乳幼児栄養:災害救援スタッフと管理者のための活動の手引き』第3版を基に声明を作成しました。
http://www.jalc-net.jp/dl/OpsG_Japanese_Screen.pdf <http://www.jalc-net.jp/dl/OpsG_Japanese_Screen.pdf>
声明のポイント
1. 災害時における乳幼児栄養においては、国際ガイドライン『災害時における乳幼児栄養:災害救援スタッフと管理者のための活動の手引き』第3版に準拠する
2. 災害時には、母乳の分泌量にかかわらず母乳を飲ませている人には、母乳が続けられる支援を(授乳スペース整備と相談できる支援体制との連携)
3. 災害時には、乳児用ミルクは必要な人に必要十分な量が届くように(一律配布せずアセスメント)
4 平常時に自治体が乳児用液体ミルクを備蓄する場合、ローリングストック方式で期限の迫った製品を妊娠中の女性や母乳で育てている母親に試供品として提供しない(WHO「母乳代用品のマーケティングに関する国際規準」の遵守)
5. 乳幼児栄養に関する計画的な防災対策を(ガイドライン作成、自治体レベルでの乳幼児栄養救援計画と体制づくり、人材育成など)
2019年3月11日
全文・各種参考資料はこちらから
http://jalc-net.jp/disaster_statement2019.html <http://jalc-net.jp/disaster_statement2019.html>