会員コラム会員コラム

会員コラム:乳児健診をとおして 児玉小児科 児玉 由紀子

前院長である父が3-4ヶ月健診時にしていた子育て一般の話。

現在は私もその流れを引き継いで健診時にご家族にお話をさせてもらっています。

①メディアとの接し方 ②抱っこと絵本の読み聞かせ ③早寝、早起き、朝ごはん

の3本柱でお話し、最後に乳幼児突然死症候群についても触れ、うつぶせ寝への注意と

赤ちゃんに関わる大人の方の禁煙、節煙をお願いしています

①メディアとの接し方として日本小児科医会が発行している『スマホに子守りをさせないで!』のリーフレットをお渡しし、メディア漬けへの警鐘の提言に触れています。

生後3ヶ月、動くものを目で追いかけ、声をたてて笑い、いろいろな泣き方を示してくれる大切な時期です。赤ちゃんからの泣き声を含む発信を大人が受信し『おむつかな?』『お腹すいたかな?』など視線を合わせ、声をかけながら抱っこして揺らしてくれる。不快なものを取り除き快の状態にしてくれる。メディアではなく、『ひと』と『ひと』とのつながりの中で様々な感覚を満たされ、愛情をたっぷり受けて赤ちゃんは育っていきます。

②子どもは抱っこが大好きです。

小学生になっても本当は抱っこしてもらいたい子が多いと思います。

恥ずかしがって嫌がるそぶりをみせるかもしれませんが、大きくなってもギューッと抱きしめて『愛しているよ』って伝えてあげてください。

その子の持っている受け皿が愛情でいっぱいになったら、きっと他者にも愛情をわけてあげられる優しい子に育ってくれることと思います。

待合室や診察室前の廊下でみかける素敵な光景があります。それは、絵本の読み聞かせ。読み手はお母さんのことが多いですが、お父さんのこともありますし、文字を覚えたてのお兄ちゃん、お姉ちゃんのこともあります。健診時に絵本の読み聞かせをおすすめしており、実際にその光景を目に耳にすると愛情のサイクルがうまく回っているなあとこちらもとても幸せな気持ちになります。

③早寝、早起き、朝ごはん

統計では日本の子どもたちは就寝時間が遅く、睡眠時間も短いようです。生活リズムが崩れると日中の眠気、集中力の低下、頭痛、だるさ、感情のコントロールができないなど支障をきたします。

朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を十分浴び脳を覚醒させ、朝ごはんをしっかり食べて、日中は『遊び』という栄養をたっぷりとって、夜は静かで照明を落とした部屋で

早寝。子どもらしさを大切に育てていくためにもう一度『早寝、早起き、朝ごはん』を見直してみてはどうでしょうか。

生後2ヶ月、予防接種で初めて受診され、その後、予防接種や健診などでお会いするたびにお子さんが成長していく姿をみせてもらえるのは小児科医にとってのご褒美だと思っています。便利な道具が次々にできて子育ても時代とともに変化していきますが、子どもたちが太陽の光とともに目を覚まし、自然の中で遊び、成長していってくれることを願ってこれからも乳児健診でのお話を続けていけたらと思います。