会員コラム:「尿検査」の話 宮崎大学医学部小児科 此元 隆雄
みなさんは「尿検査」をこれまで何回受けてきたでしょうか? おそらく、幼少のころから社会人になっても、毎年「尿検査」を受けてきたと思います。日本では、腎臓病の早期発見を目的に、「生涯検尿」としてあらゆる年齢で検尿をうける機会が設けられています。
こどもは主に学校検尿で「尿検査」を受けます。学校検尿は学校保険法によって尿蛋白と尿糖の検査を行うように定められていますが、ほとんどの場合尿潜血も一緒に検査されています。これは、主に慢性糸球体腎炎や糖尿を発見する目的で行われるためです。糖尿ついては省略しますが、学校検尿で慢性腎疾患は小学生で1万人に3〜5人、中学生で5〜10人が発見されています。なかでも「蛋白尿+血尿」で発見される慢性腎炎は、将来人工透析が必要になる可能性があり早期に発見し治療することが重要です。日本では、学校検尿による早期発見が慢性腎炎を原因として人工透析になる患者さんの減少に役立っていると考えられています。
「尿検査」を受ける上で注意する点がいくつかあります。一つ目は、早朝第一尿で検査をすることです。こどもは、運動など体を動かすだけで(立っているだけでも)尿にタンパク質が漏れることがあり「体位性蛋白尿」といいます。そのため、なるべく朝起きた直後で活動する前に尿を取る必要があります。二つ目は、尿を取る前日のビタミンCの取りすぎです。サプリメントや風邪薬、夕食でビタミンCの豊富に含まれる野菜などを摂りすぎると潜血反応が陰性になってしまうことがあります。三つ目は、女子の月経による潜血の陽性反応です。学校の検尿スケジュールは決まっていることが多いので、月経時は検尿を行わず、2回目の検尿をできるだけの生理日とずらして行う必要があります。実は、これらは学校検尿の注意書きに記載されている内容です。次回、尿を取る際には注意してみてください。
成人では、労働安全衛生法による職場健診での「尿検査」、また、老人保健法による地域住民健診では40歳以上の住民に対して「尿検査」が行われます。学校検尿で異常を指摘されると、その後に受診をしたか保健の先生から“しつこく”確認されますが、成人の場合その後の受診は自己判断に任せられます。検尿の異常によって発見される慢性腎臓病は心臓疾患や脳血管疾患と関連が強いことがわかっています。せっかくの機会なので、自身の健康管理のために「尿検査」を受けること、そして異常があれば必ず精密検査を受けてください。
生涯検尿で、健やかな人(腎)生を過ごしましょう。