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会員コラム:ドライブ旅行〜高千穂から熊本へ〜 宮崎県小児科医会 幹事(おおやまこどもクリニック)大山 龍介

 去年の秋に熊本に家族旅行に行った。僕の強い希望で、県北ルートを選んだ。延岡から高千穂、阿蘇に抜けて観光し、菊鹿温泉の宿に泊まった。なぜ県北ルートを選んだかというと、もともと大学が大分だったこともあり、学生の頃から県北を行き来することが多く、何となくノスタルジックな気分を味わいたかったからだ。特に326号沿いの川の美しさは若い頃から好きだった。今回は延岡から高千穂に抜けるのに北方、日之影町を通ることになったが、218号から見下ろす川と集落の景色は目の覚めるような絶景だった。「なんでもっと早く来なかったのだろう」と思わず呟いた。途中、青雲橋で食事休憩したが、そこでも壮大な景色を堪能できた。高千穂を通るからせっかくだからという理由で、天岩戸神社に立ち寄った。ちょうど小さいお祭りをやっていて、人も多く賑やかな雰囲気が旅の気分を高めてくれた。阿蘇ではソフトクリームを食べて、3人が好きな音楽を交互にかけて、雄大な景色を楽しみながらドライブした。草千里ヶ浜では残念ながら火山博物館はタイムアップで入場できなかったが、放牧されている馬を間近で見ることができた。若い頃の自分なら、ほとんど動かず草を黙々と食べている馬を見て何が楽しいと思っていただろうが、意外に高校生の娘は写真をたくさん撮って楽しんでいた。某熊専門動物園の熊に是非会いたかったが、こちらもタイムアップだった。残念だったが、一方でまた来る理由が残せたと思った。暗くなってきたので、菊鹿の宿に向かった。鮎など山の幸を堪能した後、温泉に入った。体を洗っていると、露天の方から何やら爆音がした。こんな田舎で何事だと露天の方に向かうと、真正面で花火が上がっていた。前情報がなく、チェックインの時にも何も知らされていなかったのでびっくりした。都会の花火のような派手さはないが、露天風呂はまさに特等席で、真正面に一つ一つが大きく夜空に開いた。翌日は熊本市街と某外資系大型スーパーで買い物もして、みんな上機嫌で旅を終えた。
 天岩戸神社の祭りも宿の花火も全くの偶然で、何だか歓迎されている気分になった。家族と旅行に行くときはテーマパークに行くことが多かったが、今回のドライブ旅行の方が圧倒的に楽しかった。普段はできない話をしながら、好きな音楽を聴きながら、流れる景色を楽しんだ。娘が大学に行ったらもう一緒に旅行には行ってくれないかもしれない。この旅行の思い出は宝物で、きっと死ぬ間際まで繰り返し思い出すだろう。休みを取りたがらない私を無理やり旅行に連れ出してくれた妻に感謝したい。