会員コラム:子どもの予防接種 宮崎県小児科医会 副会長(たかぎ小児科・心臓小児科院長)髙木 純一
今回は子どもの予防注射、ワクチンについてです。ワクチン接種は、小児科医にとって子どもたちを病気から守るための重要な責務だと考えています。現在行われているワクチン接種により、髄膜炎や肺炎など重篤な感染症が激減していることは明らかです。
皆さんは「VPD」という言葉を知っていますか?
「ワクチンで防げる病気」(Vaccine=ワクチン、Preventable=防げる、Diseases=病気)のことです。一般的にはあまり知られていない言葉ですが、今も日本では、子どもも大人もワクチンで予防できるはずの病気に感染して苦しんだり、後遺症を持ったり、死亡したりしています。
「ワクチンさえ接種していれば、こんなことにはならなったのに…」という思いは、多くの小児科医が経験したことのあるものです。VPDにお子さんがかかった時のご家族の無念さや心の痛みは、とても書き表せるものではありません。
治療が難しく、生命を脅かす病気だからこそワクチンが作られました。VPDは子どもたちの健康と命にかかわる病気であり、ワクチンで防ぐべき病気なのです。
今の日本では、VPDの重大さやワクチンの大切さを一般の人が知る機会はほとんどありません。今一度ワクチンの重要性について考えてみてください。
最後に、日本小児科学会が推奨しているワクチンは数多くあり、生後2カ月から接種が始まります。それぞれ受けられる時期や接種の間隔が決まっていますので、かかりつけ医や病院スタッフに相談して接種を進めていきましょう。予防接種スケジュールを活用するのもお勧めです。