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会員コラム:マスク 宮崎県小児科医会長(たかむら小児クリニック)髙村 一志

 会員コラムが2020年3月、新型コロナウイルス感染症の流行開始とともに途絶えていましたが、その感染症も長いトンネルの先にようやく明かりが見えそうなので再開することとします。
 再開の1回目はマスクについてです。この3年の間に定着したマスクは子どもたちにどのような功罪を残したのでしょうか。赤ちゃんは人の表情を読むことで喜怒哀楽を学びます。お母さんの笑顔が大好きで、怒った顔が大嫌いなのです。家庭では家族の顔をみることができましたが、家族以外の人の顔を見る機会が制限されました。園でも2歳以上の園児はマスクをすることが推奨され、なかよしさんの本当の顔をみることがなくなりました。表情を読むことを学ばなかった乳幼児たちが今後どのようにコミュニケーションをはかることができるのか大変心配です。
 小中学生も3年間友達の表情をみることなく過ごしました。中学3年生は入学してから一度も素顔を見たことがない同級生がいることでしょう。マスクだらけの卒業アルバムもあるようです。幸い卒業式はマスクを外すことができた学校が多いようで少し安堵しました。
 一方、対人関係が苦手な子はコロナ以前からマスクを付けることがあり、その事が奇異にみられマスクを付けること自体も重荷になっていたようです。そのような子にとっては全員がマスクを付けることでほっとした部分もあったと思われます。
 マスクを付けることはコロナの時代は学校現場では半ば強制的でしたが、令和5年3月13日からマスクの使用は個人の判断によることになりました。心疾患や喘息などの呼吸器疾患を持つ小児にとっては苦しい思いをしなくて済みそうです。今後はマスクをする、しないは自由であることを社会全体が確認する必要があると思います。