会員コラム:新しい年度が始まりました 三宅小児科医院 三宅 和昭
2017年度、遅れていた桜の開花も始まり、こども達も新たな環境のもとで、ドキドキしながら、通園・通学を始めていることでしょうね。中には、入園早々感染症の洗礼を受けたお子さんもいらっしゃるようです。
初めて集団の中で生活することになったお子さんにとっては、出会うものの殆どすべてが、初体験ということになります。同じクラスのお友達・担任の先生、先に入園していたお姉ちゃん・お兄ちゃん達。それだけではなく、お友達や先生が持っている病原体とも、初対面ということになります。
初登園の数日後に、発熱や咳・鼻水を主訴に来院された患者さんの保護者にはこうお話しすることにしています。
今まで我が家の中だけで生活していたあなたのお子さんは、おろしたてのタオルみたいに、真っ白です。でも、集団生活の場所っていうのは、誤解を恐れず言ってしまえば、どぶ川みたいなものです。真っ白なタオルをどぶ川につけることを繰り返せば、今日は黄色に染まったかと思うと、3日後にはピンクに、1週間後には紺色に、2週間後には朱色に、1ケ月後には緑色に染まってしまう可能性があるんですよ。
そうして半年・1年と、いろんな色に染まる事を繰り返していくと、だんだん煮しめた雑巾みたいになって、ジャボンとつけても、どこが汚れたのか分からなくなってくるんですよ。そうやって、大人になった時に、風邪をひかない身体になっていくんです。
そうなんです。風邪をひくことを、悪いことばかりだとは考えないで下さいね。
今は将来に備えて、身体で覚えるお勉強しているんだと考えて下さい。今の時代幸いなことに、その授業料をお上が払ってくれるという、とってもいい時代になっているのですから。
因みに、どぶ川は保育施設や学校だけではありません。皆さんに来ていただく私達の小児科外来や大規模商業施設も、もしかしたらもっと危険な場所かも知れません。そんなところに足を運ぶ時には、感染症を貰うかもしれないという、それなりの覚悟が必要だということを、最後に付け加えておきます。