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会員コラム:仕事と本 いちき小児科医院 市来 緑

暑いですね。仕事に疲れていませんか。今回は、仕事疲れ解消にぴったりの小説を紹介したいと思います。仕事に疲れているときに、楽しいエンターテインメント小説とかくどい恋愛小説など読むと、むなしくなることが多いですよね。私はそうです。仕事疲れを解消するには、お仕事小説を読むのがいいです。
まずは、若竹七海の「仕事はできるが不運すぎる」女探偵、葉村晶シリーズです。話も結構暗いし、生活も地味で友達も少なく華やぎもないのに、仕事はしっかりするというのが、本当によくて、少し不運なのも共感します。このシリーズから派生した、「御子柴くんの甘味と捜査」という短編集は、長野県警から東京に出向した御子柴警部の捜査や玉森さん、小林警部補、頼まれて送らないといけない甘味とか、よくできた話で、疲れたときに読むのに最適です。出てくる甘味のなかで、御子柴警部が猫好きの上司の妻におくる御子柴オリジナル猫お菓子セットは、私も贈られてみたいです。
次に、津村記久子の「とにかくうちに帰ります」です。これも短編集なのですが、このなかの職場の作法という話は、それぞれくすっと笑える面白さですし、うちに帰りますのほうは、言ってみれば、大雨のなか、うちに帰る話なのですが、読み終わったあとは、なぜか、まあ明日も仕事頑張ろうと思えるから不思議です。
乃南アサの女刑事音道貴子シリーズも大好きです。短編集もあるので軽く読めるし、長編は、結構重たいのですが、音道刑事のまじめな仕事ぶりとか、生活の感じ、当直も含めた仕事の大変さを読んでいると、本のなかの話とわかっていても、私だけが大変じゃないし、皆頑張って仕事してるよとしみじみ思います。
ほかにもまだいろいろありますが、今日はこのくらいで終わります。お仕事小説いいですね。